23歳、バックパッカーでタイに3ヶ月滞在していた時のこと(のちに移住します)
昔から、世界の少数民族に心引かれる思いがあってタイの少数民族にも興味があった。
タイにはアカ族、リス族、ヤオ族、首長族など色々な少数民族がいてとても美しい刺繍品を作っていたりする。人里離れた山で暮らす彼らに私に何かできることがあればボランティアしたい。と願望を抱いていたと思う。
意外にも、多くの少数民族の人達がまちに出稼ぎに来ていた。そんな中、タイの北部チェンマイというまちでひとりのアカ族の青年と出会った。 彼は、アカ族の伝統的な楽器をまちのナイトマーケットで売っている青年だった。
彼の名前はRen
Renは私より若くてとても流暢な英語を話しいつもギターを弾いていた。
毎日通りがかりで顔を合わせるので、なんとなく友達になっていった。 私は、アカ族のこと聞きたいことが沢山あったけど、失礼にならないように慎重にことばを選んで会話をしていたと思う。 知らない世界の相手へ最大の尊重を込めて。 少しずつ、ラフに本音で話をできるようになった時に空を見上げてRenが言った。
「この星の向こうに何があるか知ってる?」
「え??」
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それから宇宙のことや世界のこと、高次元の話しまで・・・あどけない笑顔とキラキラした目で止まらない勢いで一気に話してくれて。
そんな現実離れした彼の知識に私は圧倒されていた。
「だからー、宇宙から見たら僕たちはこれっぽっちのかけらでしかないんだ」って笑って言った。
「Ren , あなたはどこから来たの?一体何者?」
それは、私の衝動的なことばで慎重にことばを選べなくなっていた。
それは、私が想像していた「少数民族」のイメージとかけ離れていたからで。
私の浅はかな知識と勝手な想像で、貧しい少数民族=かわいそう=ボランティア みたいな薄っぺらい考えを持っていて、Renはその私の想像と全く違って、私より遥かに知識があってとても豊かな思想を持っていたから。それは自然と沸いて出たことばだった。そしてその瞬間、自分の薄っぺらを恥じた。
それから、彼はアカ族についての色んな話をしてくれた。
Renがまだ幼かった頃、突然村に白人の「いい人」たちがやってきて(ボランティア)学校を作ってくれたそうな。
それまでアカ族の言語を話していたけど、学校は英語だったこと。だから、今では英語とタイ語を話せるけどアカ族の言葉は少しだけしか話せないこと。
ある時、学校教育のおかげで英語を学び世界の考え方を学んだけど、伝統あるアカ族の民族の生き方は全く学べていないと気づいたこと。
アカ族の伝統ある生き方をしていない自分について考えるようになって、
もしも「いい人」が村に来ずにそのままアカ族として生きていたならば、果たしてそれは不幸なことだったのかな。。。。と。
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私は、ことばを失った。
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たった数分前に、自分の薄っぺらい考えを恥じたばかりなのに。
もうそれ以上に恥ずかしくて情けなくて、真っ直ぐ彼の顔を見れなくなっていた。
理由は決まっている。少なからず私もその「いい人」側の人間で、ボランティアしたいなんてぼやいていたわけだから。
「ごめん。私も何か勘違いしてたみたい、、、、勝手な想像で、こっちの価値観で、考えていたところがあったと思う。」
また、慎重にことばを選んで話をする私になっていた。
「ちかは何も謝ることないよ」って笑って言ってくれたけど、私はひどく傷ついていた。(HSPなもんで)
そのあとの2人の会話には、話のディテールはなくて、広い世界の抽象的な話をした。
それでも何だか通じ合えていた。
また慎重にことばを選んで話さなくて済んだ。
人間誰しも、自分が知り得る知識の中で、自分の目に映るものの感覚だけで、これはこうだ。と認識して決定づけやすい。
そこに、差別とか偏見とかジャッジとかが必ずしも入っているわけではない。
だけどそれが結果的に誰かを傷つけたり、はたまた迷惑になったりすることって日常生活の中でも大なり小なりあるような気がする。
それが、先進国と発展途上国という2つの概念で決定づけられるのは、ちゃんちゃらおかしな話しだ!と何だか胸が熱くなった。(怒りで)
だけど、冷静に考えて見ると過去を振り返ってあの時こうだったなら・・・という答えは誰も知り得ない。
あの時、村に「いい人」が学校を作らなかったら・・・幸せだったとも限らない。
ふたりで答えの出ない話をすることが楽しかった。
私もいつも1人で答えのないハテナ?を自分自身に問うことを楽しんでいたから。
いつも1人で自分自身に問いかけていることを、Renに問いかけてみたりした。
Renは少し嬉しそうにでも呆れ顔でそして仕方なさそうな素振りで「あのね・・・」
と切り出して、今まで彼が座っていた箱の中から何かゴソゴソと何かを探し始めた。
つづく。
*これは本当にあった話です笑
人と自然を繋ぐ 〜Soul Journey ブログ〜